「そう、それが言いたかった!」を引き出す。社長のモヤモヤを次の一歩へ変える言語化の魔法

こんにちは。神戸市で税理士事務所を開業しております、キャッシュフローコーチ兼理念実現コンサルタントの岩城研祐です。
はじめに:12月の焦りと「頭の中の渋滞」
もう12月も後半。今年も残すところあとわずかですね!!
そう考えると急に時間がないように感じて、「今年やりたかったことができなかった」といった焦燥感やモヤモヤを感じることはありませんか?
この年末特有のモヤモヤは、実は経営課題にも共通しています。事業成長のボトルネックは単一ではなく、常に「お金(財務)」と「ヒト(組織・仕組み)」という二大要素が複雑に絡み合っているからです。
「どこから手を付けていいか分からない」
そんな「頭の中の渋滞」を解消するヒントを得るため、私の師匠の一人でもある和仁達也先生の最新刊『たった一言で「頭がいい」と思われるコンサルタントの言語化力』を読みました。
対話を通じて「そっか、自分はこう考えていたのか」と深い気づきを得る体験は、経営者にとって何よりの救いになります。私自身、和仁先生のそうした関わり方に感銘を受け、自らもそうした価値を提供できる存在でありたいと、一つの指針にしてきました。
本書を読んで改めて確信した、対話における「3つの大切な要素」を、私自身の葛藤も含めて整理します。
1. 聞き手の「在り方」:透明な存在になる
まず、テクニック以前の「聞き手の在り方」が重要です。
聞き手は、自分自身の価値観や軸を明確に持った上で、相手の話を聞くときは「透明になる」こと。つまり、色眼鏡をかけず、相手を特定の方向へ誘導しようとしない姿勢です。
これに関連して、私なりに「透明になる」ということを深掘りして考えてみました。
私たちは誰しも無意識に色眼鏡をかけています。物事が起きたとき、事実と解釈を一緒にして思考してしまい、話が大きくなりすぎたり、あらぬ方向へ行ってしまったりすることはないでしょうか。
相手の話を聞くときは、
- 「事実」を話しているのか?
- 「解釈」の部分を話しているのか?
これらを明確に分けることが大切です。事実に対して聞き手の解釈を付け加えずに聞き、相手の解釈(感情や思い)もそのまま受け入れて「相手になりきる」。そこまで寄り添って初めて、相手の本当の想いが見えてくるのだと私は考えます。
……と、少し堅苦しく書きましたが、実は私自身、この「事実と解釈を分ける」ことの難しさを日々痛感しています。
お客様との面談中、税理士として数字という「事実」を見ていると、「こうすれば良くなる」という私なりの「解釈(意見)」が先に見えてしまうことが多々あります。すると、透明な聞き手であるべきなのに、求められてもいないのに自分の意見を被せてしまい、つい相手を私の正解へ押し付けてしまいそうになるのです。
しかし、私の解釈は、あくまで「私の色眼鏡」を通したものでしかありません。自分のエゴを横に置き、いかに透明な聞き手として、社長自身の解釈を大切に扱えるか。この「在り方」の修行こそが、本質を突く言語化を支える土台なのだと改めて感じました。
2. 「場の空気」:AAP(安心・安全・ポジティブ)
次に大切なのが、相手が本音をさらけ出せる「場」のデザインです。
和仁先生が提唱されるAAP(安心・安全・ポジティブ)な場であれば、経営者は孤独な悩みを打ち明けることができます。
本書では、相手が話しやすくなるための方法など、場の空気をコントロールするための具体的なアプローチも記されていました。
社長が「こんなことを言ったら笑われるかも」「数字が分かっていないと思われるかも」という不安を抱えたままでは、どれだけ高度なスキルを使っても、核心に触れる対話は生まれません。聞き手の役割は、まずその心の鎧を脱いでもらう「空気」を作ることにあるのです。
3. 「聞くための方法」:核心を捉える手順
最後に、具体的な「方法」です。
コンサルタントの言語化力とは、単に言葉を飾ることではなく「課題の核心を捉える力」です。
本書ではその手順として、
①聞く
②整理する
③思考を言語化する
というステップが示されています。
この「整理」の段階で、相手の感情までをしっかりと受け取り、それを適切な言葉で返してあげる。そうすることで相手は「自分以上に自分のことを分かってくれている」と感じ、言い表せなかった本質が浮き彫りになります。
この具体的な手法の一つが、キャッシュフローコーチが提供しているビジョナリーコーチング(VC)です。
まずは頭の中にあるものをすべて吐き出し、「今、何が起きているのか(現状)」と「本当はどうなりたいのか(理想)」の差を丁寧に言語化します。そして、そのギャップを埋めるための道筋を、さらに3つの視点で整理をし「次の一歩」にまで落とし込む。 「ただの計画」が「確信を持てるアクション」に変わるのは、この一連のプロセスがあるからこそなのです。
まとめ:2026年をスッキリした頭で迎えるために
今回この本を読み、「聞き手の在り方」「場の空気」「聞くための方法」の3つが揃って初めて、相手の次の一歩を軽くする言語化ができるのだと再確認しました。
本質を突き、相手が言い表せなかった想いを言語化する。
「そう、それが言いたかった!」という言葉が出た瞬間、人は驚くほど軽やかに動き出します。
もし今、あなたの頭の中で思考がぐるぐる回って止まらないなら、一度そのモヤモヤを外に出してみませんか?年内のうちに「頭の渋滞」を解消して、最高の2026年を迎えましょう!
最後に:この一冊が、あなたの「言語化」の扉を開くかもしれません
今回ご紹介した和仁達也先生の著書『たった一言で頭がいい人だと思われるコンサルタントの言語化力』は、コンサルタントの方はもちろん、部下を持つリーダーや、対人支援をされているすべての方にとって、一生モノの武器になる一冊です。
もし、今のモヤモヤを自分の力で紐解いてみたいと思われたなら、ぜひ手に取ってみてください。きっと、たくさんの新しい発見があるはずです。
そして、もし「自分一人ではどうしても頭の中がまとまらない」「客観的な視点で、数字と想いを整理してほしい」と感じられたときは、いつでもお声がけください。
2026年という新しい年を、曇りのないクリアな視界でスタートさせるお手伝いができれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

