工業高校卒、電柱に上っていた私が税理士として独立するまで

「仕事を辞めたい」
そう思いながら、毎日なんとか会社に行っている方へ。

私は今、神戸で税理士として独立して4年目になります。
でも、ここまでの道のりは、まっすぐではありませんでした。

勉強が苦手で、工業高校を卒業。最初の仕事は、電力会社で電柱に上る現場仕事でした。
その会社を辞め、給料の上がらない日々に悩み、学歴のコンプレックスに何度もぶつかってきました。

この記事では、Threadsで6回に分けて書いた私のこれまでを、1本にまとめました。
今、仕事やキャリアで悩んでいる方の、小さな応援になればうれしいです。

これまでの歩み(30秒で読めます)

  1. 工業高校を卒業し、電力会社へ。電柱の電線・設備の工事を担当
  2. 20歳で会社に行けなくなり、退職
  3. ビルメンテナンスの会社へ。給料が上がらず、将来に不安を抱える
  4. 本屋で手に取った日商簿記3級のテキストから、独学で3級・2級に合格
  5. 全経上級に合格し、税理士試験の受験資格を得る
  6. 夜勤明けや休日に勉強し、3年で3科目に合格
  7. 仕事を辞めて1年だけ受験に専念。1科目合格、1科目不合格
  8. 地元の税理士事務所で働きながら、受験6回目で5科目合格。29歳で税理士に
  9. 大手の会計事務所は学歴で断られるも、千人規模の税理士法人に入社。マネージャーに昇格
  10. コーチングを受けて独立を決断
  11. 独立後4か月は顧問契約0件。今は独立4年目

電柱に上っていた20歳。「辞めたい」と言っても、誰も聞いてくれなかった

私は勉強が苦手で、工業高校を出て電力会社に入りました。
仕事は、電柱にぶら下がっている電線や設備の工事をすることです。

体力勝負の現場仕事やのに、肝心の体力がない。
毎日へとへとで、寮に帰っても何もできませんでした。

「辞めたい」と親や身近な人に相談しても、返ってくるのは
「こんないい会社、もう入られへん」
「頑張って続けろ!!」
そればっかり。

あの頃は、みんなが敵に見えました。
そして私は、逃げるように会社に行けなくなりました。

今ならわかります。
本当は、アドバイスではなく、もっと話を聞いてほしかった。

年収300万円のまま、人生が終わるんやろか

電力会社を20歳で辞めたあと、次に入ったのはビルメンテナンスの会社でした。
職場の人はいい人ばかりで、環境も時間も悪くなかった。

でも、給料が上がらない。
このまま年収300万円がずっと続くのは嫌や。そう思っていました。

高卒で、学歴も職歴もない自分に、いい転職先なんてあるわけない。
今さら大学にも行かれへん。
いろんなコンプレックスに押しつぶされて、自己肯定感はどん底でした。

本屋で手に取った、1冊の簿記3級テキスト

そんなとき、何かできることはないかと、ふらっと本屋に入りました。
たまたま手に取ったのが、日商簿記3級のテキストです。
「これなら、何か活路が見いだせるかも」
私の中に、小さな希望が灯った瞬間でした。

そこから独学で、簿記3級と2級に合格。
「自分も、やればまだまだできる」
初めてそう思えました。

続けて全経上級に合格し、税理士試験の受験資格を得ます。
簿記論、財務諸表論、法人税法。
夜勤明けも、休日も、通勤時間も、ちょっとした隙間時間も、ひたすら勉強しました。
そして、3年で3科目に合格することができました。

自信は、小さな「できた」を積み重ねた先にしかない。
今振り返ると、そう思います。

人生で一番勉強した年に、落ちた

3科目に合格したあと、ビルメンテナンスの仕事を辞めて、1年だけ受験に専念することにしました。
残り2科目に合格して、税理士試験を終わらせるつもりでした。

結果は、消費税法は合格。相続税法は不合格。

生きてきた中で一番勉強したし、周りの誰よりも勉強した自信があった。
それでも届かない。
努力は報われないときもあるんやと思いました。

合格した人の話を聞くのも辛くて、
「自分には能力がないんや」と責め続けた時期です。

専念は1年だけと決めていたので、地元の税理士事務所で働き始めました。
未経験でもすぐに採用してもらえたのはありがたかったのですが、仕事はそれなりに忙しく、勉強時間との両立に苦しみました。
それでも、受験6回目で5科目に合格。29歳で税理士になることができました。

実は受験を始める前、「28歳までに合格する」とA4の紙に書いて、部屋のコルクボードに貼り、周りにも宣言していました。
結果は1年遅れ。
それでも、苦しいときも悔しいときも、机に座ればその紙が目に入る。
あの紙と宣言が、最後まで私を机に向かわせてくれました。

「高卒の方は、応募を受け付けていません」

税理士になってしばらくして、もっと大きな事務所で、いろんな経験をしたいと思うようになりました。
目指したのは、Big4と呼ばれる大手の会計事務所。
結果は全滅。学歴で断られることが多かったです。

税理士になっても、まだ学歴がついてくるんか。
消えたと思っていたコンプレックスが、また顔を出しました。

それでも探し続けて、千人規模の税理士法人に入社。マネージャーまで昇格できました。
志の高い人たちに恵まれて、今でも感謝しかない職場です。

ただ、働くうちに思うようになりました。
税務だけでなく、経営やお金の相談をされるくらい、経営者と深く関わりたい。

でも、今のお給料を捨てて、0からの独立。
リスクが大きすぎると感じていました。

ちょうどその頃、私はコーチングを受けていました。
コーチと話すうちに気づいたんです。
自分は、やらない言い訳ばかり並べているなと。

このままやらない方が、人生のリスクかもしれない。
そう思えて、独立を決断しました。

独立して4か月、顧問契約は0件

入ってくるのは、たまにあるスポットの仕事と、税理士会の仕事の収入だけ。
本当に独立してよかったんか。1年後、自分はどうなっているんやろ。
正直、不安でたまりませんでした。

何もしていなかったわけではありません。
それでも結果が出ず、たまらず税理士紹介サイトに登録。
そこでやっと、1件目の契約が決まりました。

その後は、ご相談やご紹介がぽつぽつと届くようになりました。
1件1件、全力で向き合いました。
ご契約になったこともあれば、ならなかったこともあります。

それでも大事にしてきたのは、お客さまと話す時間です。
帳簿や税金の話だけでなく、お客さまが目指している場所まで、しっかり聞く。
そのうえで、次の一歩を一緒に考える。
今は、仕事もプライベートも大切にしながら、楽しく毎日を過ごせています。

遠回りして、気づいたこと

電柱に上っていた頃、本当は話を聞いてほしかった。
そんな私が今、人の話を聞く仕事をしています。

振り返ると、遠回りの中で大切なことをたくさん教わりました。

  • 「辞めたい」は甘えではなく、ちゃんとしたSOS。必要なのはアドバイスより、話を聞いてもらうこと
  • 人生が変わるきっかけは、大きな決断でなくていい。本屋で1冊手に取るくらいの、小さな一歩で十分
  • 自信は、小さな「できた」の積み重ねでしか育たない
  • 目標は、書いて、見えるところに貼って、周りに宣言する
  • 挑戦しないことも、人生のリスクになる

遠回りしても、人生はちゃんと巻き返せる。
今悩んでいるあなたにも、きっと次の一歩があります。

誰かに、じっくり話を聞いてほしい方へ

仕事のこと、キャリアのこと、独立のこと。
コーチングでは、アドバイスより先に、まずはあなたの話をじっくり聴くところから始めます。